男らしさボックスを抜け出て

f0107724_1820297.jpg水曜の午後、相模原保健所の相談会を終えた後、羽田空港から最終便で九州の大分へと発った。

大分県教育委員会より、県内の小・中・高校の養護教諭約120名が2日間に渡って、相談活動に必要なセルフケアとアサーティブネスを学ぶという研修のご依頼を受けた。

保健室の先生たちは、怪我の手当や衛生指導をはじめ、子どもたちの命に関わる仕事をこなしつつ、子どもたちが教室では語れない悩みや家族問題の聴き手にもなっている。
事前のヒアリングを読ませてもらっても、養護教諭の日常の激務が伺われる。

さて、2日間という限られた貴重な時間の中で、なにができるだろう?
なにをどうプログラムし、コーディネートするか?
私にとっても大きなチャレンジだ。

大分とのご縁は、かれこれもう5年にさかのぼるのだが、3年前のクログに書き込んだ「一人から始まる力 in USA」に詳しい。
会場には、そのとき出会った懐かしいお顔もあり、最前列の端では、大分とのご縁のきっかけとなったIさんが見守る中、2日間の研修会は、参加者一人ひとりが、話して、聴いて、描いて、歌って、踊って、演じて…五感をフルに使ってみんな大活躍!
なごやかな温かい空気とともに無事終了した。

ところで、今回の参加者の中には、たった1人の男性がいた。
初日から最前列に座っていたKさんは、高校の定時制に勤務している。
大分県で初の男性の養護教諭だ。

養護教諭というと、法的制限もないのに、なぜか慣習的に女性が採用されてきた。
「子どもたちの心と体、日常の世話をするのは女性」というジェンダーバイヤスが採用する側にあるからだろう。

だが、ティーンの男の子たちは、これまでの「男らしさのボックス」にとらわれない新しい男性のモデルと、そういう男性からのケアとサポートを必要としている。

ティーンだけでなく、男性が7割をしめるひきこもりや自殺の背景にも、「男らしさのボックス」によって関係を分断され“居場所がない”という孤立の問題がある。
“心の壁に閉ざす孤立”から“他者とともに生きる自立”を回復するには、男らしさボックスを抜け出て、弱さを認め受けいれ、同性をケアし支えあおうとする男性同士による新しい関係性が必要なのだ。

ちょうどその日、東京のスタジオ悠では、2人の男性ピアカウンセラーが活躍しているはずである。
そんなことにも思いを馳せつつ、暴力の予防とジェンダーについて話をする。
そして、今回たまたま一冊だけ持参していた「ポールさんと学ぼう! 暴力から自由になる10ステップ」を名刺代わりにKさんさんにお渡しした。

f0107724_18204091.jpgKさんは、「つい男たちは男だけだと弱音を出せずに男気はってしまうんですよね」と苦笑いする。
新しい世代の男性の養護教諭が大分に生まれようとしている!
時代は変わるのだ。

旅に出て、見知らぬ人々のなかでワークショップをすることは、かなりの緊張と集中を要するため、身も心もへとへとになる。そうは全然見えないらしいんだけどね…(笑)
そうしてチャレンジした分、未来へ続く新しい出会いと希望が必ず用意されている。

来月はまた沖縄、北海道へと飛ぶ予定である。

写真上:JR大分駅前/写真下:湯布院の馬車
by teenspost | 2009-10-25 10:45 | ♪渡り鳥の旅みやげ