母の枕元で歌う、さくら、さくら

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母の病室が変わったことを知ったのは、先月末の母の誕生日のことだった。





3年前に母の入院生活がはじまってから、誕生日には、病室を見舞うようになり、今年もそのつもりだったのだが、今年は院内インフルエンザが蔓延しているため、特別な事情がない限り、限られた身内以外の面会はご遠慮くださいという。
散々迷った末に、断念した。

それからしばらくして、桜が散らないうちに訪ねようと思った。

電車を乗り継いで3時間、小さな駅の近くに病院はある。

事前に、「なんとか車椅子に乗せて、桜を見せてやれないかな」と福祉職の弟に尋ねたが、難しいだろうとのこと。

なにもできないって、切ないな。

できないなりに、私にできることは何だろう。

ふと思い立って、母の枕元で、「さくら」を歌ってみた。

さくら さくら やよいの そらは みわたすかぎり〜


そしたら、寝たきりの母が、笑った。無邪気な女の子のように笑った。

小さい頃、母はたくさんの歌を歌ってくれた。

母の歌でたくさんの歌を覚えて育った。

歌、言葉、思い、声のトーン…息づかいと口伝えでしか伝えられないことがある。
日々の中にあるんだな。

新しい母の病室は窓が2つある角部屋で、窓の向こうに桜並木が眺められた。
by teenspost | 2012-04-13 10:00 | ♪徒然Sawanism