食欲の秋に、ずるい?

最近、電車で移動する度に、目にひっかかる忌々しい広告がある。
サントリーの烏龍茶のCMコピー。
「姉さんは、よく食べる・・・なのに、ずるい」というヤツ。
背景には、スリムな姉の体型を羨む思春期の妹の姿が映されている。

サントリーといえば、かつて小説家開高健が20代の時に広告宣伝部でコピーライターをやっていたことは有名で、当時の仕事に「人間らしくやりたいな、トリスを飲んで人間らしくやりたいな」という名コピーがある。
日本が戦争の痛手から回復していった復興期から高度経済成長に向けて、当時の人々の心を惹くコピーだったんだと思う。
開高健の小説は大好きで、その昔よく読んだものだけど、そのコピーを書いた小説家はアルコール依存症だった。

さて、その「人間らしくやりたいな」から半世紀後、「姉さんは、よく食べる・・・なのに、ずるい」という、このコピー、どう感じますか?
摂食障害の女性のツボを押さえて、購買意欲をそそる手口。
そもそも、物質文明、消費社会というものは、消費者を不安に陥れたり、嫉妬心を煽ることで、過剰供給して“買わせる”システムをつくる。
広告が「認知の歪み」をつくるわけだ。
それがまさに先進国のアディクションを増加させる背景にあるわけなんだけど、母娘関係・姉妹関係に傷つき摂食障害に苦しむ女性たちを思うに、これはあまりに忌々しいぞ。

先日、ファミレスでメニューをしげしげ見る小学生の姉妹がいて、姉の方は一番カロリーの低いメニューを選び、ハンバーグ定食を選んだ妹に向かって「あんたはまだカロリーとか気にしなくいいよね」と蔑むように言うのを目撃して、ドヒャッとびっくりした。
2人とも、モー娘。のような雰囲気。
アタマは優劣を競う男ジェンダー、からだは同質化で閉じ込める女ジェンダーという「ダブルバインドの呪縛」である。
情況は、どんどん、低年齢化しているね。

ちなみに、サントリーの広告は同じコピーで「姉妹の食卓」編に続き、「姉妹の恋愛」編を放映しているらしい。おぞましいなあ。。。

一方、このところヨーロッパでは、若い世代の摂食障害への影響を懸念する摂食障害予防団体や政府閣僚・議員によって、やせ過ぎのモデルがファッションショーに出場できないような規制が広まっているという。
日本の広告もただ売れればいいだけじゃなくて、そのあたりを考えざるをえないところに来ている思うのだが。

さあて、こんなレベルで不要な嫉妬や不安を煽られて、嫌な気分に浸り、空虚な人生を送らずに済むように、明日はRETパート2で、機能的な認知と情報の読み解き方を学びましょう。
by teenspost | 2006-09-20 09:49 | ♪徒然Sawanism