カテゴリ:♪渡り鳥の旅みやげ( 112 )

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福井県立三国高校へ非暴力プログラムを出前する旅に出た。
一年前にリクエストくださった養護教諭のK先生は、2004年夏に新大阪で開かれた養護教諭のための全国研修会で、「養護教諭のための心の手当て」というテーマで話した私の講演を聴いてくれたのが最初のご縁。
そこで披露させてもらった「ファジーのきもち」に甚く心動かされ、地元に戻るやその直前に福井を襲った豪雨災害によって心傷ついた子どもたちの元へ「ファジーのきもち」を紙芝居にして読み聴かせのボランティア活動をされたという。

その後、K先生はこの春退職されのだが、4月から引き継いだS先生も、なんと福井水害の折りに一緒に「ファジーのきもち」を子どもたちに届けた一人だという。
校内でたった一人しかいない養護教諭は、多くの生徒の心と身体の健康を守るという大変な日常であるにもかかわらず、ただただ頭が下がる。

f0107724_942274.jpg6年も前に蒔いた種が、こうして、たくさんの人の心から心へと伝わり、手から手へとつながっていったことは、この仕事をしてきた者として心が踊るような喜びだ。

そんな経緯もあり、今回、三国高校では700名の生徒さんたちに、心を込めて「ファジーのきもち」を読ませてもらった。

旧制高校から続くこの伝統校は、私自身の高校時代を彷彿とさせる自由な雰囲気が漂い、信頼感あふれるゆるい空気の中で、自然体の生徒の表情が印象的だった。
その場でいきなりお願いしたロールプレイに演劇部の男子生徒が快く立ち上がり、名演技をしてくれた。
終わりの挨拶をしてくれた保健委員長はプログラムの間中はパソコンの操作を手伝ってくれ、終わりには壇上に昇りつつも、マイクは通さず、私の遥か頭上から優しい笑顔で、心の言葉を聴かせてくれた。

三国高校は広大な田園地帯と透き通る美しい北陸の海と湯質豊富な芦原温泉に恵まれ、生徒の家族は農業や漁業を営む家も多いとか。
自然と共存する環境は、生徒の心の成長や表現力にも大きく寄与していることだろう。

終了後、S先生は今回初めての福井訪問となる私を、学校から車で10分ほどの景勝地「東尋坊」へと案内してくれた。
行ったことはなくても誰もが一度はTVで目にしている「東尋坊」。
メディアがつくるドラマの影響もあって、「自殺の名所」なんて呼ばれ方もしている。
本来はゆたかな自然の中で高齢者が多く暮らし、子どもの夜間緊急相談システムの取り組みで日本一の福祉県福井だが、北部の景勝地が「自殺の名所」、南部の美しい若狭湾が「原発銀座」と呼ばれる現実は地元の問題ではない。
「東尋坊」では自殺を予防するNPO活動も盛んで、「ドリャーおじさん」という目の前で断崖からダイビングして死なないことを証明して這い上がってくる果敢な名物ボランティアもいるらしい。

そういえば、今日は世界自殺予防デー、WHOの自殺予防週間がはじまった。
三国高校では「自分に向ける暴力」の話と、その本質的予防のための心の健康と人間関係づくりを中心にお話しさせてもらった。

夕暮れ間近か、東尋坊からサンセットビーチに移動し、S先生と海を見ながら、おしゃべりした。
S先生は穏やかな語り口で、しかるべきときにはきっちり境界線を引いて適度な距離を作れる方とお見受けした。
「この仕事を続けて行くために自分に誓った3つのことがあるんです。1. ケガした生徒がいたらすぐにグラウンドに走って行けること 2.修学旅行に引率できること 3. 生徒を可愛いと思えること…これができなくなった時は私は仕事を辞める」と言った。
そう、そう、ケアする仕事とは、心と身体と、そして情が資源なのよん。

夕陽が沈む時を待つ浜辺には、なぜかD大学とR大学の応援団が太鼓の音と大合唱を響かせている。
ここは大学生の合宿の名所でもあるらしい。
浜辺の右端と左端で練習していた2校だが、「実はお互い大学同士すごく仲が良いんですよ」とさっきまで硬派の伝統的応援練習を展開していたD大のOBがニコニコしながら話してくれた。
R大学の方は、ブラスバンドも加わり、女子部員が半数以上の男女共同参画型(?)ステージのようである。

夕陽をバックに肩を組みサークルを描いて歌う応援団に「ボーイズ&ガールズ トゥゲザー事業」を応援してもらったような気分。
うん、こういうドラマならいいね。さんきゅっ!
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by teenspost | 2010-09-10 21:42 | ♪渡り鳥の旅みやげ

水を得た魚

f0107724_8441212.jpg那覇入りした昨日から沖縄は梅雨入りした。
例年より一週間くらい早い。
本来、梅雨と言うよりは熱帯の雨期という感じの沖縄の梅雨は、雨がざーっと降っては、カラッとお日様が顔を出すのだけど、ずーっと、しとしと降り続く内地の長雨のようだ。

今回で三回目となる具志頭中学(本島南部)の新一年生対象のコミュニケーション講座。
男女ほぼ同数の今年の新一年生の表情は梅雨の晴れ間のようにさわやかだ。

ロールプレイで使ったアサーティブのペープサートは、なんと同校の先生のお手製。
事前に「つくっていただけますか?」と、お願いしていたところ…
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お土産に持ち帰りたいほど、素晴らしい仕上がりだ。
なによりも、あたたかいね。

f0107724_8551797.jpgはじまりの挨拶をしてくれたA君とこのペープサートを使って、いろんな場面ごとにとロールプレイすると、その様子を見つめる一年生たちから正直でアサーティブな反応が返ってくる。

そうなると私は、水を得た魚のよう。
魂が泳いでいく。すいすい~♪

今年度も独立行政法人福祉医療機構「先駆的・独創的活動支援事業」より「ボーイズ & ガールズ トゥゲザー 自立支援ネットワーク事業」(略 B&Gプロジェクト)への助成が内定し、次代を担う少年少女が自分も他者も殺めることなく“他者と共に生きる自立”を果たせるよう、多文化共生社会を育むための非暴力モデル事業を首都圏、北海道、関西、沖縄で開催する。
by teenspost | 2010-05-07 20:04 | ♪渡り鳥の旅みやげ

飛びます! 飛びます!ワークショップ渡り鳥は、北海道伊達市に辿り着いた。
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f0107724_20223574.jpg“北海道の湘南”と呼ばれる伊達の看護専門学校で半日、赤十字病院で2日間の研修だ。

伊達紋別の駅に迎えにきてくれたのは、いく子さんとゆんちゃん。
いく子さんは、伊達の看護学校を卒業後、看護師として同病院精神科に勤務し、若くして夫を亡くした後、2人の娘さんを育て上げ、現在も夜勤をこなす。

f0107724_2018077.jpgゆんちゃんは、看護学校を卒業後、看護師として同病院精神科に勤務し、結婚後は、3人の子どもを育て、夫の両親と農家を営み、看護師を続けてきた。

言葉にならないくらいパワフルで愛すべき“おたんこナース”たちなのだ。

さっそくゆんちゃんの車で、ゆんちゃん家に案内され、愛犬ガクに迎えられ、カボチャ団子入りのぜんざいで腹ごしらえ。 幸せ〜♪


f0107724_12195485.jpgさて、看護学校の入口で出迎えるのは赤十字の創始者アンリ・デユナン(第1回ノーベル平和賞受賞者)の像である。
戦場に放置された死傷者の姿をみて、その救援活動をしている地元の女性たちの群れに入り、自らも救援活動に参加し、1862年その体験を出版、敵味方の区別なく負傷者の救護に当ることを目的とする赤十字の創設の契機となった。
晩年、ドイツの老人ホームに隠居していたところ、あるジャーナリストに発見され、第1回ノーベル平和賞を授与され、賞金は全額赤十字に寄付されたとか。
ふーむ、こんなお顔していたのね〜

今回の北海道ツアーは、ジャンベ奏者で中学生の訪問相談員のラハシーがゲスト。
ラハシーの長期にわたるひきこもり体験談からスタートした。

教師の体罰を目撃したことで学校に行けなくなった小学生のラハシーは、その後,目立たない生徒として中学・高校を生き延びるも、自分の存在と感情を押し殺したままじゃ、外には出られなくなる。

「ひきこもりしてたって、ほんとはね、おしゃべりです」
「負けず嫌いなんですね、負けるくらいなら、やらないって、完璧主義だったんですね」・・・
学生たちの表情が次第にゆるんでくる。

ラハシーのメッセージに続いて、非暴力とはなにか? 暴力のシステムを解き放つために何ができるか?を学びあい、最後は“歌って踊れる看護師”目指して、ジャンベとピアノと学生と教員たちが響きあう。
そうして、3時間半は過ぎた。

アンコール!  アンコール!  アンコール! ・・・

今までワークショップを何回もしてきたけれど、「アンコール」をもらったのは初めてだ。
かくして30分以上延長してみんなで歌い続けた末に、ラハシーが「来年もきていいかな?」とコールすると、「いいともー! 」というエネルギッシュなレスポンスがこだました。

彼らが社会に出たときには、東南アジアの同僚と仕事するわけだから、医療技術とともに、非暴力、多文化共生の智慧を学びあうことが必要だ。

また急速な高齢化と人材不足で、どこの地域も医療現場はたいへんな矛盾を抱えている。
「ひと月に一時間だけでいいから働ける中途退職した看護師を募集している病院が札幌にある」と、TVニュースで流れていた。

人間的であたたかいステキな精神科医長、トオルさんも、
「昼食を食べる間もないほど、患者が来る。医者が足りない」と。
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伊達赤十字病院での研修は毎年1回、7年続けてきて、超多忙な医療職が土日2日間の時間をつくって参加する。
年々、ここでの学び合いと支えあいの意味が、参加者にも私にも大きくなってきている。

センスのいい心の豊かな医療職ほど葛藤は深い。
そこで研修を受け持つ私も、そこでの嘆きを受け止めるだけでなく、非暴力の表現と柔軟な精神を学びあい、遊び心で楽しく巻き返すパワーを取り戻すお手伝いをしたいのだ。
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今年も病院の最上階にある海を見渡す明るい会場は、“おたんこナース”の創造的アートで美しく飾られ、精神科医長のつまびくギターでイメージワークをし、映画を観たり、看護師、保健師、養護教諭、ワーカー、ヘルパー、看護学校教員が歌って,踊って,描いて、演じて…それぞれが花開くステージは繰り広げられた。

「セルフケアは大切です」と机の上で学ぶんじゃなくて,みんなで「セルフケア」をやってみようよ!

終わってからも、ゆんちゃんは「頭の上にメロディーがずっと流れている」という。

伊達紋別の駅まで見送ってくれた“おたんこナース”と精神科医長の4名は、私が列車に乗り込むと、寒風もなんのその、駅舎の柵の向こうに一列に並んで、仲間と歌った「アィリリドゥビリ(I really do believe)」をふりつきで歌いながら、楽しそうに踊っているじゃないか。

動き出した列車の窓越しに、私も一緒に「アィリリドゥビリ(I really do believe) ジョーイ サムホェア(Joy somewhere)」とふりつきで歌い、踊った。

そう、私たちはどんなときも、どんなに離れていても、どこかに喜びがある、って、心から信じていく。
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by teenspost | 2009-12-01 12:23 | ♪渡り鳥の旅みやげ

琉球旅情3/3

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以前もこのブログで紹介したことがあるが、沖縄では地域によって、道ばたに警官の人形をみかける。
左は「宮古マモル」という名前まで持つ宮古島のおまわりさんの人形。
右は沖縄本島南部にあるスカイブルーの制服をまとったおまわりさんの人形。

それぞれに、実にほのぼのとした表情をして、地域の治安を見守っているフィギュアである。
それでなくても夏場の炎天下で路上パトロールなんてしていられない沖縄だから、リアルおまわりさんは地域を守るためには自分の体も守らなければならない。
ちなみに私はこの宮古マモルと大阪の“くいだおれ太郎”は親戚関係にあると推察している。

島の人たちは、これらの人形の存在があまりにあたりまえの日常過ぎて、ほとんど意識していないらしく、左のブルースカイの無名の人形などは、私が関心を寄せて写真を撮っていると通りすがりの地元ドライバーに逆に驚かれたりする。

さてと、今回の沖縄ワークショップ渡り鳥が最後に渡ったのは、宮古マモルが待つ宮古島である。

宮古島保健所からは、宮古島警察と協力して、中学生を持つ親御さんのためのグループカウンセリングの依頼だ。
担当の警察官の方に「最近の中学生は、どんなことで指導を受けるのですか?」と事前に尋ねたところ、「そうですねえ、喫煙とか、帰宅が遅いとか…」という答えが返ってきて驚いた。
思わず《そんなことで警察のお世話になるんですか?》と思った自分が、なんだか恥ずかしくもある。

首都圏の地域社会では、「最近の中学生は、しょーがない…」と非難したり、諦めたり、無関心だったり、ティーンを排除する人はいても、“そのくらいのこと”でも気軽に気楽に相談にのれるような余裕ある人が少くなっている。

でもね、宮古はちがうのね。
警察と保健所の精神保健担当、母子保健担当が協力して、子どもたちとその家族を親身に支援しようとしているのだ。
担当する男女2人の警察官は、まるでちょっと年上のニイニイやネエネエのようだ。
そのような土地柄か、沖縄県内の統計調査では、大人の自殺率も低いということだ。

警察と保健所の協力による、この家族のためのグループカウンセリングの試みは、今年の1月以来、今回で2度目なのだが、いざふたを開けてみれば、アディクション問題・発達障害への理解、家族機能の回復…さまざまな情報啓発を必要とする場面となる。
問題をこじらせる前に、必要な情報と社会資源を提供し、問題を恵みに変え,子どもたちへの理解と安全なサポート、そして思春期の自立の支援につなげてくことこそが、すべての深刻な問題への予防となるのだ。

子どもの支援は家族の支援である。
さらにそれは未来の希望と平和につながる。

だっからよ〜、首都圏でも、新宿マモルとか、横浜マモルとか、六本木マモルとか、チャーミングなご当地おまわりさん人形を設置してみたらどうかと真剣に思うのである。

翌日、帰路の飛行機の時間まで、宮古島保健所の保健師さんたちと、島内のパワースポットを巡りつつ、ゆんたく(おしゃべり)するセルフケアツアーを楽しんだ。

というわけで、これからも沖縄とTEENSPOSTの業務提携(?)は、限りなく発展していくと思う。

これにて琉球旅情2009(完)
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琉球旅情1/3はこちらから
琉球旅情2/3はこちらから
by teenspost | 2009-11-15 17:33 | ♪渡り鳥の旅みやげ

琉球旅情2/3

沖縄本島南部は沖縄戦の激戦地。
Sさんのおじいとおばあのように、想像を絶する過酷な体験をしてきたお年寄りたちが、心も身体も健やかに毎日働き、沢山の他者に思いを馳せつつ自分の命を生かしている。
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この地から生まれた民謡「汗水節」の歌詞には、
♪くくるわかわかとぅ あさようはたらきば
心若々と 朝夕働きば
〈心を若くして朝から晩まで働けば〉
ぐるくじゅになても はたちさらみ
五六十になても 二十歳さらみ
〈五十歳六十歳になっても二十歳のようだ〉

とある。
その歌詞は、具志頭中学の校舎の壁にどーんと飾られている。

具志頭中学でのワークセミナーを終えて、那覇から空路一時間南下し、石垣島へと到着。
今回の石垣ワークショップのために事前の準備やお手伝いのボランティアをかって出てくれたK子さんが空港に出迎えてくれて心強い。
彼女は、以前スタジオ悠と同じビル内の障がい者自立生活センターで働いていたのだが、あるとき、石垣島への旅をすすめたところ、その後,移住し、はや7年が経つ。

初夏から体調を崩していた私は、今回の沖縄の仕事を引き受けるにあたり、ここに書き尽くせぬほどのたくさんの友人、知人のサポートが頼もしい味方だった。
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石垣では、このところ毎年のように訪問している石垣中学と川平中学でワークショップする予定であったが、石垣中学が当日になって、インフルエンザで学級閉鎖となり、急遽中止となってしまった。
まだまだ、インフルエンザは猛威をふるっているらしいが、ならばこそ、新型アサーティブや新型非暴力のTEENSPOSTウィールスを流行らせるつもりだっただけに、ちと残念。

だが、神様がいるこの島だから、神様が休日をくれたのだろうと、ありがたく頂戴する。
そして、翌日、日本、いや世界の名勝地、川平湾のある川平中学を訪れた。
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全校24名の中学は、一月に訪れた全校19名の宮古島池間中学を彷彿とさせるのびのびとゆたかに正直に表現し仲間と一緒に楽しむ子どもたちだ。

実は石垣市からは「DVの予防啓発」として今回の仕事を依頼され、寸前には担当者より「暴力予防のための感情教育、アサーティブな自己表現と依存症予防」というリクエストをいただいている。
そこで、生徒さんたちにも手伝ってもらい、即興で演劇ワーク「アディクション物語」を演じたのだが、ここの生徒の打てば響くカンの良さとチームワークは驚嘆もの。

当然のことながら、「自分は他人からよく見られるか」とか「自分はウケるか」とか、自分だけの狭い世界にとらわれる「自己中毒病」は生息しておらず、一瞬一瞬を仲間と響きあいながら演じている。
だから、観客の生徒や先生、市の職員も心からお腹を抱えて大爆笑。

伝統芸能部が盛んであるとは耳にしていたけれど,自然環境に恵まれた小規模校では、自分を生かしつつ、他者とつながりあうという非暴力を生徒たちの日常の関係の中で学び取ることができるのだろうと想像する。

・・・さらに、続く・・・
琉球旅情3/3はこちらからも飛べます
by teenspost | 2009-11-15 12:24 | ♪渡り鳥の旅みやげ

琉球旅情1/3

しばらく旅していた沖縄から戻ってきた。
沖縄と一口に言っても、沖縄には人が住む島が49はあるという。
今回は、沖縄本島、石垣島、宮古島。
中学校3校でのワークショップと中学生の親対象のグループカウンセリング、そして、現地の子ども支援者・援助職とのひさしぶりの再会。
その模様を3回にわけてお届けしたい。

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那覇に到着するやいなや、先月,読谷村からモンパチのライブを実況中継してくれた相談職のS子さんが案内してくれたのは、親族が最近オープンさせたという首里のそばや。

あれ?ここって、保育園だったところじゃない?
そうこのあいだまで素敵な保育園があった場所が、「ゆくい処 くぇぶぅ」という店に変わっていた!

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出迎えてくれたのは三歳になる店主のお子さん。
広〜い庭でエイサーを踊る姿を縁側で足を伸ばしてしばし眺めつつ、ゆし豆腐入りの沖縄そばをいただいていると、琉球時間は静かに穏やかに流れていく。

さらに、南に下りて、糸満の浜辺でのべ〜っとゆるんでまどろむことにしようか。

たいてい沖縄の車はゆっくりと走る。
だが、夕日が沈む前に浜辺に着こうと、いつになく、車はサトウキビ畑の農道を走り抜け、夕日と追いかけっこをする。
浜辺に到着すると、みるみるまに日は落ちてゆき、アコークロー(明るくて暗い黄昏時)の瞬間だ。

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ふと気がつくと水際から子どもたちの歓声が聴こてきた。
近くの中学生が夕暮れの浜辺で楽しそうに遊んでいる。
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夜は八重瀬町の農家Sさんの自宅でテビチ(豚足)汁をふるまわれる。
Sさんは、沖縄県女性センターの相談職をしている時からの10年来の知り合いで、いまは具志頭中学のスクールカウンセラーをしつつ、4人の子ども、夫、おじい、おばあと暮らす。

ここのおじいは、私が「東京から来た」と告げると、「アギジャビヨー!」と驚いてくれる。
おじいもおばあも、元気に毎日畑で働いている。
おばあは、さまざまな美味しい料理を開発し続け、「レシピー、教えましょうね」というので、私は「レシピのおばあ」と呼んでいる。
レシピのおばあは、「今はとても忙しいけれど、もう少し年をとってヒマになったら、美味しい料理やお菓子を沢山の人に食べさせる仕事がしたい」という。
74歳である。

こうして、沖縄本島に降り立つや、身も心もゆるゆるとゆるんでいくのである。
・・・続く・・・琉球旅情2/3はこちらからも飛べます
by teenspost | 2009-11-15 12:01 | ♪渡り鳥の旅みやげ

f0107724_1820297.jpg水曜の午後、相模原保健所の相談会を終えた後、羽田空港から最終便で九州の大分へと発った。

大分県教育委員会より、県内の小・中・高校の養護教諭約120名が2日間に渡って、相談活動に必要なセルフケアとアサーティブネスを学ぶという研修のご依頼を受けた。

保健室の先生たちは、怪我の手当や衛生指導をはじめ、子どもたちの命に関わる仕事をこなしつつ、子どもたちが教室では語れない悩みや家族問題の聴き手にもなっている。
事前のヒアリングを読ませてもらっても、養護教諭の日常の激務が伺われる。

さて、2日間という限られた貴重な時間の中で、なにができるだろう?
なにをどうプログラムし、コーディネートするか?
私にとっても大きなチャレンジだ。

大分とのご縁は、かれこれもう5年にさかのぼるのだが、3年前のクログに書き込んだ「一人から始まる力 in USA」に詳しい。
会場には、そのとき出会った懐かしいお顔もあり、最前列の端では、大分とのご縁のきっかけとなったIさんが見守る中、2日間の研修会は、参加者一人ひとりが、話して、聴いて、描いて、歌って、踊って、演じて…五感をフルに使ってみんな大活躍!
なごやかな温かい空気とともに無事終了した。

ところで、今回の参加者の中には、たった1人の男性がいた。
初日から最前列に座っていたKさんは、高校の定時制に勤務している。
大分県で初の男性の養護教諭だ。

養護教諭というと、法的制限もないのに、なぜか慣習的に女性が採用されてきた。
「子どもたちの心と体、日常の世話をするのは女性」というジェンダーバイヤスが採用する側にあるからだろう。

だが、ティーンの男の子たちは、これまでの「男らしさのボックス」にとらわれない新しい男性のモデルと、そういう男性からのケアとサポートを必要としている。

ティーンだけでなく、男性が7割をしめるひきこもりや自殺の背景にも、「男らしさのボックス」によって関係を分断され“居場所がない”という孤立の問題がある。
“心の壁に閉ざす孤立”から“他者とともに生きる自立”を回復するには、男らしさボックスを抜け出て、弱さを認め受けいれ、同性をケアし支えあおうとする男性同士による新しい関係性が必要なのだ。

ちょうどその日、東京のスタジオ悠では、2人の男性ピアカウンセラーが活躍しているはずである。
そんなことにも思いを馳せつつ、暴力の予防とジェンダーについて話をする。
そして、今回たまたま一冊だけ持参していた「ポールさんと学ぼう! 暴力から自由になる10ステップ」を名刺代わりにKさんさんにお渡しした。

f0107724_18204091.jpgKさんは、「つい男たちは男だけだと弱音を出せずに男気はってしまうんですよね」と苦笑いする。
新しい世代の男性の養護教諭が大分に生まれようとしている!
時代は変わるのだ。

旅に出て、見知らぬ人々のなかでワークショップをすることは、かなりの緊張と集中を要するため、身も心もへとへとになる。そうは全然見えないらしいんだけどね…(笑)
そうしてチャレンジした分、未来へ続く新しい出会いと希望が必ず用意されている。

来月はまた沖縄、北海道へと飛ぶ予定である。

写真上:JR大分駅前/写真下:湯布院の馬車
by teenspost | 2009-10-25 10:45 | ♪渡り鳥の旅みやげ

シコンノボタン

庭に紫紺野牡丹の花が咲き始めたのは、昨日の朝なのか、一昨日の晩なのか。
花が咲くときを誰も知らない。
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2006年の秋、サンフランシスコ郊外にある暴力予防教育家ポール・キベルさんの自宅を訪ねたときに、見事な満開で出迎えてくれたのが、この花だ。

それから、花屋に並ぶ紫紺野牡丹を見つけて、庭に植えている。
晩秋から霜が降りるわずかな期間にしか、この花がつかないこともあり、秋に入って日毎ふくらむつぼみを眺めつつ、いまかいまかと開花を心待ちにしていた。

姿形も愛らしいけれど、「紫紺」という色は、東南アジアのジャカランダの花の色にも似ている。

西海岸の気候と異なる東京では、ポールさんの庭にあったように、大きく枝葉を伸ばしてまるで「紫の桜」のように頭上で花開くまでには育たないけれど、この花が開くたびに、1年1年の歩みを振り返る。

そういや、去年の今頃はチェリーセージの赤い花が満開で、PETAのワークショップを終えて、ポール・キベルさんの来日の準備をしていたったけ。

あれから1年。
チェリーセージの赤い花の隣で紫紺野牡丹の花が咲く。
花が咲くときを誰も知らないけれど。
by teenspost | 2009-10-18 11:45 | ♪渡り鳥の旅みやげ

Woman woman woman

台風一過の青空が広がる東京夢の島。
週末から連休に掛けての四日間、女たちによる女たちのための女たちの「女性と内なる子どもを癒すワークショップ」が開かれた。
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遠く北海道、関西からも集った参加者は、NACをはじめ女性のための自助グループを各地で運営してきた女性たちだ。

女性同士がお互いの痛みを分かち合い,支え合うこと。
それはあたりまえのことのようでいて、いざ、実践しようとするとき、さまざまな壁にぶつかる。
誰よりもわかり合いたい女性同士が、自身の内面に刷り込まれた「女は価値がない」というセクシズムや、「女はこうあるべき」というジェンダー役割にはばまれて、つながりあえない、助け合えないのだとしたら、それほど悲しいことはない。
それが家族の中では、祖母から母,母から娘へと代々受け継がれるのだとしたら、その不幸の連鎖を手放したい。

1日目のはじまりは、参加者全員で、女性たちが心から求める「Home」を描いた。
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今回のワークショップのファシリテーターとして来日したPETA(フィリピン教育演劇協会)の女性・子ども演劇プログラムディレクターであるマリチュー・カリーノさんは、DV・依存症・貧困に傷ついた子ども・女性やルソン島の少数民族の支援をしてきた。
マリチューさん自身、DVサバイバーで、思春期の3人の子どもと暮らしているシングルマザーだ。

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4日間のアクティビティは、からだ感の肯定、感情のさまざまな表現、演劇作り、ポエム、造形、絵画、歌、ダンス…女性同士の共同作業が繰り返し行われ、その中では、マリチューさんをはじめ参加者全員の体験がすべて社会資源として開花し、結実し、さらに女性たちの心の底に癒しと成長の種を落としていってくれたことと思う。

Woman is powerful!

来年の秋には、そう京都でやりたいなあ!


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(今日のニュースから)100歳の豪女性、砲丸投げで世界新記録を樹立!
by teenspost | 2009-10-13 15:10 | ♪渡り鳥の旅みやげ

体育館に響き渡るリズム

今日は夕方から、Tingos!のアフリカンドラム奏者で中学校訪問相談員のラハシーと川崎市立川崎高校の定時制におジャマしてきた!
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担当はこの春から新任の養護教諭S先生。
生徒さん達と年齢も近く、こういう先生が保健室にいたら、用もないのに「頭痛い」とか言って保健室に行っちゃうだろーなー。

そのS先生からは事前に「とても素直な生徒達が、自己肯定感を高めて、人との関わり・コミュニケーションがうまくできるよう、もっともっと自分も他者も認められるようになって欲しい、大事にして欲しい」とのリクエストをいただき、今晩のライブのテーマは「「こじれない人間関係のレッスン」。

いきなり、ラハシーの叩きだすアフリカンリズムが体育館に響き渡る。
私は気分よくゴスペルのスタンダード「Glory glory」「This little light of mine」を歌う。

どんなときにも自分を励ます歌。
勇気と信頼を分かち合える歌。
そういう歌をいくつ心に持っているか。
音楽の力はほんとうに大きい。

その後、ラハシーの不登校やひきこもりの体験談を交えつつ、メンタルヘルスとコミュニケーションづくりのための視聴覚教材を使ったり、アサーティブのロールプレイ劇を演じたり、あっというまに1時間は終わり、最後はラハシーの出身地横須賀の米軍基地で幼少期を過ごしたというクリスチーナ・アギレラの「Beautiful」のライブ映像で閉じることにした。
始まる前の映像チェックでいくつかのDVDを流していたら、S先生がすかさず、「クリスチーナ・アギレラですね」と言ったから。

♪私たちはみんな素敵だよ
誰がどんなことを言おうと私たちは素敵だよ
だから今日、私を傷つけないで


思えば、半年ぶりの高校訪問。
ティーンと共に情念を伝え合ったり、分かち合ったりする仕事は、ティーンズポストの本領、そして天職だ。
それを手伝ってくれる同志がいることは心強い。

この秋、ラハシーとのユニットは、北海道にも上陸する予定である。
by teenspost | 2009-09-29 22:09 | ♪渡り鳥の旅みやげ