琉球旅情3/3

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以前もこのブログで紹介したことがあるが、沖縄では地域によって、道ばたに警官の人形をみかける。
左は「宮古マモル」という名前まで持つ宮古島のおまわりさんの人形。
右は沖縄本島南部にあるスカイブルーの制服をまとったおまわりさんの人形。

それぞれに、実にほのぼのとした表情をして、地域の治安を見守っているフィギュアである。
それでなくても夏場の炎天下で路上パトロールなんてしていられない沖縄だから、リアルおまわりさんは地域を守るためには自分の体も守らなければならない。
ちなみに私はこの宮古マモルと大阪の“くいだおれ太郎”は親戚関係にあると推察している。

島の人たちは、これらの人形の存在があまりにあたりまえの日常過ぎて、ほとんど意識していないらしく、左のブルースカイの無名の人形などは、私が関心を寄せて写真を撮っていると通りすがりの地元ドライバーに逆に驚かれたりする。

さてと、今回の沖縄ワークショップ渡り鳥が最後に渡ったのは、宮古マモルが待つ宮古島である。

宮古島保健所からは、宮古島警察と協力して、中学生を持つ親御さんのためのグループカウンセリングの依頼だ。
担当の警察官の方に「最近の中学生は、どんなことで指導を受けるのですか?」と事前に尋ねたところ、「そうですねえ、喫煙とか、帰宅が遅いとか…」という答えが返ってきて驚いた。
思わず《そんなことで警察のお世話になるんですか?》と思った自分が、なんだか恥ずかしくもある。

首都圏の地域社会では、「最近の中学生は、しょーがない…」と非難したり、諦めたり、無関心だったり、ティーンを排除する人はいても、“そのくらいのこと”でも気軽に気楽に相談にのれるような余裕ある人が少くなっている。

でもね、宮古はちがうのね。
警察と保健所の精神保健担当、母子保健担当が協力して、子どもたちとその家族を親身に支援しようとしているのだ。
担当する男女2人の警察官は、まるでちょっと年上のニイニイやネエネエのようだ。
そのような土地柄か、沖縄県内の統計調査では、大人の自殺率も低いということだ。

警察と保健所の協力による、この家族のためのグループカウンセリングの試みは、今年の1月以来、今回で2度目なのだが、いざふたを開けてみれば、アディクション問題・発達障害への理解、家族機能の回復…さまざまな情報啓発を必要とする場面となる。
問題をこじらせる前に、必要な情報と社会資源を提供し、問題を恵みに変え,子どもたちへの理解と安全なサポート、そして思春期の自立の支援につなげてくことこそが、すべての深刻な問題への予防となるのだ。

子どもの支援は家族の支援である。
さらにそれは未来の希望と平和につながる。

だっからよ〜、首都圏でも、新宿マモルとか、横浜マモルとか、六本木マモルとか、チャーミングなご当地おまわりさん人形を設置してみたらどうかと真剣に思うのである。

翌日、帰路の飛行機の時間まで、宮古島保健所の保健師さんたちと、島内のパワースポットを巡りつつ、ゆんたく(おしゃべり)するセルフケアツアーを楽しんだ。

というわけで、これからも沖縄とTEENSPOSTの業務提携(?)は、限りなく発展していくと思う。

これにて琉球旅情2009(完)
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by teenspost | 2009-11-15 17:33 | ♪渡り鳥の旅みやげ

琉球旅情2/3

沖縄本島南部は沖縄戦の激戦地。
Sさんのおじいとおばあのように、想像を絶する過酷な体験をしてきたお年寄りたちが、心も身体も健やかに毎日働き、沢山の他者に思いを馳せつつ自分の命を生かしている。
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この地から生まれた民謡「汗水節」の歌詞には、
♪くくるわかわかとぅ あさようはたらきば
心若々と 朝夕働きば
〈心を若くして朝から晩まで働けば〉
ぐるくじゅになても はたちさらみ
五六十になても 二十歳さらみ
〈五十歳六十歳になっても二十歳のようだ〉

とある。
その歌詞は、具志頭中学の校舎の壁にどーんと飾られている。

具志頭中学でのワークセミナーを終えて、那覇から空路一時間南下し、石垣島へと到着。
今回の石垣ワークショップのために事前の準備やお手伝いのボランティアをかって出てくれたK子さんが空港に出迎えてくれて心強い。
彼女は、以前スタジオ悠と同じビル内の障がい者自立生活センターで働いていたのだが、あるとき、石垣島への旅をすすめたところ、その後,移住し、はや7年が経つ。

初夏から体調を崩していた私は、今回の沖縄の仕事を引き受けるにあたり、ここに書き尽くせぬほどのたくさんの友人、知人のサポートが頼もしい味方だった。
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石垣では、このところ毎年のように訪問している石垣中学と川平中学でワークショップする予定であったが、石垣中学が当日になって、インフルエンザで学級閉鎖となり、急遽中止となってしまった。
まだまだ、インフルエンザは猛威をふるっているらしいが、ならばこそ、新型アサーティブや新型非暴力のTEENSPOSTウィールスを流行らせるつもりだっただけに、ちと残念。

だが、神様がいるこの島だから、神様が休日をくれたのだろうと、ありがたく頂戴する。
そして、翌日、日本、いや世界の名勝地、川平湾のある川平中学を訪れた。
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全校24名の中学は、一月に訪れた全校19名の宮古島池間中学を彷彿とさせるのびのびとゆたかに正直に表現し仲間と一緒に楽しむ子どもたちだ。

実は石垣市からは「DVの予防啓発」として今回の仕事を依頼され、寸前には担当者より「暴力予防のための感情教育、アサーティブな自己表現と依存症予防」というリクエストをいただいている。
そこで、生徒さんたちにも手伝ってもらい、即興で演劇ワーク「アディクション物語」を演じたのだが、ここの生徒の打てば響くカンの良さとチームワークは驚嘆もの。

当然のことながら、「自分は他人からよく見られるか」とか「自分はウケるか」とか、自分だけの狭い世界にとらわれる「自己中毒病」は生息しておらず、一瞬一瞬を仲間と響きあいながら演じている。
だから、観客の生徒や先生、市の職員も心からお腹を抱えて大爆笑。

伝統芸能部が盛んであるとは耳にしていたけれど,自然環境に恵まれた小規模校では、自分を生かしつつ、他者とつながりあうという非暴力を生徒たちの日常の関係の中で学び取ることができるのだろうと想像する。

・・・さらに、続く・・・
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by teenspost | 2009-11-15 12:24 | ♪渡り鳥の旅みやげ

琉球旅情1/3

しばらく旅していた沖縄から戻ってきた。
沖縄と一口に言っても、沖縄には人が住む島が49はあるという。
今回は、沖縄本島、石垣島、宮古島。
中学校3校でのワークショップと中学生の親対象のグループカウンセリング、そして、現地の子ども支援者・援助職とのひさしぶりの再会。
その模様を3回にわけてお届けしたい。

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那覇に到着するやいなや、先月,読谷村からモンパチのライブを実況中継してくれた相談職のS子さんが案内してくれたのは、親族が最近オープンさせたという首里のそばや。

あれ?ここって、保育園だったところじゃない?
そうこのあいだまで素敵な保育園があった場所が、「ゆくい処 くぇぶぅ」という店に変わっていた!

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出迎えてくれたのは三歳になる店主のお子さん。
広〜い庭でエイサーを踊る姿を縁側で足を伸ばしてしばし眺めつつ、ゆし豆腐入りの沖縄そばをいただいていると、琉球時間は静かに穏やかに流れていく。

さらに、南に下りて、糸満の浜辺でのべ〜っとゆるんでまどろむことにしようか。

たいてい沖縄の車はゆっくりと走る。
だが、夕日が沈む前に浜辺に着こうと、いつになく、車はサトウキビ畑の農道を走り抜け、夕日と追いかけっこをする。
浜辺に到着すると、みるみるまに日は落ちてゆき、アコークロー(明るくて暗い黄昏時)の瞬間だ。

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ふと気がつくと水際から子どもたちの歓声が聴こてきた。
近くの中学生が夕暮れの浜辺で楽しそうに遊んでいる。
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夜は八重瀬町の農家Sさんの自宅でテビチ(豚足)汁をふるまわれる。
Sさんは、沖縄県女性センターの相談職をしている時からの10年来の知り合いで、いまは具志頭中学のスクールカウンセラーをしつつ、4人の子ども、夫、おじい、おばあと暮らす。

ここのおじいは、私が「東京から来た」と告げると、「アギジャビヨー!」と驚いてくれる。
おじいもおばあも、元気に毎日畑で働いている。
おばあは、さまざまな美味しい料理を開発し続け、「レシピー、教えましょうね」というので、私は「レシピのおばあ」と呼んでいる。
レシピのおばあは、「今はとても忙しいけれど、もう少し年をとってヒマになったら、美味しい料理やお菓子を沢山の人に食べさせる仕事がしたい」という。
74歳である。

こうして、沖縄本島に降り立つや、身も心もゆるゆるとゆるんでいくのである。
・・・続く・・・琉球旅情2/3はこちらからも飛べます
by teenspost | 2009-11-15 12:01 | ♪渡り鳥の旅みやげ

f0107724_1010531.jpgとらわれの苦悩とは、変えられないものを変えようとし、変えられるものを変えまいとするところに生じる。

先日、スタジオ悠にやってきたAC回復者が言った。
「最近、心からすすんで行動している自分に気づいて、しみじみスピリチュアリティの回復の意味が見えてきました」と。

人と行動するときに、《自分が手を出してもなんの役に立たないだろう》とか、あるいは《手伝わなければ悪いんじゃないか》《なにもしないとよく思われないんじゃないか》と思えば思うほど,手も足も出なくなる。
回避、回避、回避のための回避、さらに回避…を繰り返す。

それは、自分ひとりですべてを負わなければならないという“自分依存”というアディクションだ。
回避とのめりこみ(しがみつき)の自己完結はセットである。

アディクションという病は、「スピリチュアリティの病」とも言う。
人と人とのつながりや、人から人への相互の流れが断ち切れているところでは、何をするにも不要な恐れと不安がつきまとう。
変えられないものを変えようとし、変えられるものを変えまいとする孤立無援の不毛な戦いにのめのこむ。

そういう「大人しいオトナ」たちの問題は、ひきこもり・ウツ・自殺・過労死の増加やさまざまな家族問題の結末として社会に浮かび上がってはくるが、その回復のプロセスについての情報がまったくといっていいほど行き渡っていない。

f0107724_10303093.gifそんな中,米国の自助グループACA(Adult Children of Alcoholics:アダルトチルドレン オブ アルコーリックス)が数年前に刊行した回復のテキスト「ACA フェローシップ テキスト (12ステップ と伝統) / ACA 12ステップ ワークブック 」(通称ビッグブック)を元に、それをさらに深く読み取り、仲間とともに学びあうミーティングが今月ついに立ち上がった。

NACの先行く仲間たちがリーダーシップをとり、米国のWSOへの正式な登録を済ませ、毎週火曜日、夜7時より町田市文学館ことばらんどの会議室で行われている。
一緒に学びあい分かち合おうとする方ならば、年齢性別問いません。

また、今週の金曜、13日の夜7時より、スタジオ悠にて、「当事者研究をライブで学ぼう! 体験!! べてる式」がある。
こちらは、7月に大好評だった北海道浦河べてるの家の映像クリエイター向谷地宣明さんを招いて、生き難さを当事者こそが、新しい社会スキル獲得に変えていける「べてる式当事者研究」を体験するプログラム。
当事者・ご家族・支援者、どなたでもどうぞ!
くわしくはこちら

ちなみに、べてるの家の名ソーシャルワーカー向谷地生良さん(宣明さんの父)と浦河赤十字病院・精神神経科部長、川村敏明さんたちが、先住民アイヌの人たちのアルコール依存症の回復支援から歩いてきたことは「降りていく生き方」(横川一夫=著 太郎次郎社=刊)にも詳しいが、その根底にアルコール回復の12ステップ哲学が脈々と受け継がれているように私には思える。

米国の大学には「アルコール学」という専門分野があると聞くが、この「アルコール回復学・家族機能学」は学べば学ぶほど深く面白く、今日の日本に生きるすべての人に豊かさをもたらしてくれると思う。

変えられるものと変えられないものを見分けて、実りの秋にしましょう。
by teenspost | 2009-11-07 10:28 | ♪徒然Sawanism

イメージを飛ばす

f0107724_21552671.jpgコミュニケーションでなにがややこしいって、直接相手に伝えず遠回しにする「三角コミュニケーション」と、相手の行動によって満足を得ようとする「操るコミュニケーション」だ。

この2つは、思わせぶりや、曖昧にお茶を濁すことはしても、状況をシンプルに明確に伝えようとはしない。

相手という“変えられないもの”を変えることにとらわれて、自分の行動という“変えられるもの”を忘れるほど、コミュニケーションはこじれるね。

《相手をなだめよう》《相手に認めさせよう》《相手をとりなそう》・・・
相手が変わりさえすれば問題解決するはずと思っていれば、相手の言動や感じ方を変えさせようとはしても、自分がどうしたいかは決して言葉にはあらわさない。
自分の心から行動することもない。

それは、いつも人に合わせるトレーニングを独ぼっちでしているうちに身に付いてしまう哀しき習性だ。
「機能不全孤立教習所」とでも名付けたくなるようなアブナいトレーニングの場所だけは、“中高一貫”や“生涯学習”として、エスカレーター式でやたらにあるニッポンだからね。

f0107724_22142867.jpg現実に向き合い、未来を開こうとすれば、人と人とが年齢性別や様々な違いを超えて、異なる価値観を表現しつつ、折り合いを付けていくことが必要だ。
そういう体験を繰り返し、他者とともに問題解決していく力を粘り強く柔軟に、かつほどほどいいかげんに身につけていく以外にない。

さて、それをどう人とともに楽しみながら学びあっていくか?

各地を巡る今月の非暴力SPAワークショップのイメージを飛ばしはじめている。
大分の由布院の山並みに立ち昇っていた元湯の煙や、金鱗湖にたなびく朝靄のように、自然湧出していくイメージを眺めている。

///////北海道の湘南、伊達温泉2daysワークショップ
11/29(土)-30(日)
海を一望する会場でのホットなワークショップに全国どこからでもご参加いただけます。
詳しくはこちら

by teenspost | 2009-11-02 22:22 | ♪徒然Sawanism