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ボックスの中の蝶々たち

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先月の男の子エンパワー講座では、非暴力プログラムの重要なテーマのひとつになっている“男らしさのボックス”について寸劇にはじまり、ブルースとラハシーの体験談と続き、ゲストの本島直幸さんにメッセージしてもらった。

元々、男が泣かず恐れず傷ついても語らず、それを強さとして固持できる存在ならば、“男らしさのボックス”を強制する社会的トレーニングなど必要ないわけだが、この矛盾を認めない大人たちによって、少年は幼い頃から、「泣くな,傷ついても黙れ、恐れるな」という“男らしさのボックス”に閉じ込められ、そこから脱出しようとすると、様々な暴力や虐待という制裁を受ける。

それでも、この箱に入りきれない少年たちは、仲間からの暴力のターゲットとなったり、その痛みをアルコール・薬物依存・摂食障害であらわしたり、人知れず心を痛めたり心身を病むこともある。

本島さんは子ども時代からの出来事を正直に語り伝えてくれた。
さらに薬物依存症回復者として仲間の自立支援にあたる中で、“回復(者らしさ)のボックス”の存在も認めたと語った。

そういえば、以前,会報の中で沖縄の山根さんが“沖縄らしさの箱”について書いていていたが、ちゅらさん人気の中で、暴力の部分には蓋をして楽園のような作られたイメージを演じる、外に向けた沖縄の現実の苦しさをそう表現していて、とても興味深かった。

そう、こういうボックスとは、その存在を認めてはじめて、かけがえのない個を解放し、理不尽な暴力の存在に気づく感性を取り戻せる。
このボックスを隠したり消すのではなく、事実を認めて明らかにすることで、そこから入るも出るも自覚的に選択できる自由を手にすることができるのだ。

本島さんは最後に「このボックスの中で、セクシュアリティについて語ることができない。それはとても大事なことなのに…」と結んだ。

さて、8月21日の第2回目にお招きする真木さんは、みずからの性に対する違和感に向き合う中で、1998年にESTOを発足し、性的マイノリティのネットワーク作りを通じて十代の支援と家族支援をしてきた。
その中には、発達障害、ウツ、統合失調症、依存症、ひきこもり状態にある人もいる。
家族、学校、コミュニティが性の多様性を受け入れるよう、行政への要望書の提出など社会啓発も大切な活動のひとつだ。

真木さんは言う。
「当事者が集まれば、深刻な孤独感からのトラブルも起こったりで、何度も最初から活動を組み立て直すことも経験しました。
自分のセクシュアリティを表現できないまま生きてきた人達のコミュニケーションの困難さと生き辛さは身に染みて知っていると思います。
問題は、それを伝えられるように話せるか?です。
伝わるような話ができるように頑張りますね」

真木さんは数年前にTEENSPOSTの活動に関心を持って秋田から訪ねてきてくださった時にも、その自然体で誠実なお人柄がとても印象的だった。
一人でも多くの人に関心を持って、聞きにきてほしい。

写真:神奈川県立生命の星・地球博物館

★定員がありますので、ニックネームでもいいのでネットか電話(火、木、土)で事前予約をお願いします。
詳細↓



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vol.2 男らしさより自分らしさ
個人が尊重される社会を求めて

8月21日(sat)13:30~16:30
町田市文学館ことばらんど
真木柾鷹 (性と人権ネットワークESTO代表)

1回500円(お支払いは当日会場で)
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幼少時より自覚する性別が“ 女の子”ではないことに悩みながら“女性”として生きることを模索するが、20才を過ぎた頃から心理的ストレスが身体のストレスとなって現れ、PMS(月経前症候群)を発症。女性ホルモンのバランスを調整する治療をするが症状は悪化を辿る。97年に埼玉医大の答申で“性同一性障害”を知り、男性ホルモンによる治療を選択。ジェンダーを男性に変更し、トランスジェンダーとしての生活をスタート。一般的に知られる性転換症とは異なり、身体の性に対する違和感は弱く、性別適合手術などは希望していない。 1998年にESTOを発足し、LGBTIのネットワーク作りを始め、性的少数者の支援活動と社会啓発を模索する。
著書『トランスジェンダーとして生きる』真木柾鷹・山田正行/編著(同時代社 2006年)、『性同一性障害30人のカミングアウト』

by teenspost | 2010-08-12 09:50 | ♪徒然Sawanism