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プチプチシートに陥らない支援を求めて

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今日、知人の家のリビングにあるテレビに不思議なテロップが流れているのを目にして驚いた。
そのテロップは番組の内容とはまったく関係なく、「はやく地デジに移行しなさい」「間際になると工事が多くなるので大変ですよ」…というニュアンスで、まあ、脅しというか、アナログTVからデジタルに買い替えられない人へのイジメのように、しつこく繰り返し流れている。知らなかったわ〜!!

これって、視聴者の感情をさんざん盛り上げておいて、いやらしいほどのタイミングでブチッっとCM画面に切り替わる最近のTVの造りにも通じるものがある。
メディアは人々のネガティブな耐性を鍛えるトレーニングをしているようだ。
なにが子どもの教育に悪いって、これはないっす。
だって、ネガティブな情緒を有無を言わさず吸い取られたら、自立できないじゃない。

メディアだけじゃない、教育や医療や福祉や、そしてNPOの社会活動だって、弱者の傷みを緩和することで人々のネガティブな情緒を吸い取り、社会構造のひずみや矛盾を処理し、その結果、抵抗する力や健康な怒りを奪うならば、依存を助長し自立を阻み、現状の社会システムのひずみを維持することに加担するだろう。

プチプチシートに陥らない支援を求めて_f0107724_2234373.jpgそれは、米国の暴力予防教育家のポール・キベルさんたちが「バッファゾーン《緩衝地帯》」と呼ぶものだ。
社会不公正まで壊さずに包み込むプチプチパッキングシートのようなもの。
支援者やコミュニティ活動が陥りやすい落とし穴である。

この秋、支援者対象のワークショップのために招聘するフィリピン教育演劇協会(PETA)から、「自分たちが日本に行ってやったことを、参加者がただ自分だけがいい経験しましたで終わらせるのではなく、それを現実の中でどう他者に伝え、どうコミュニティを回復していくか、そこが大事だ!」という問いかけをもらったが、ごもっともである。

自分だけが良くなって終わりなんてことはないし、自分だけが良くなることが目的でもないし、自分を解放することで、他者と世界と新たにつながる持続可能な関係づくり----それこそが、世界中どこだって、支援現場で忘れちゃならない生命線だ。

TEENSPOSTスタジオ悠には、遠方から大変な思いをして足を運んでくる人がいる。
やっとの思いで辿り着いてくる人がいる。

その人たちがプログラムを受けることで、ただ心地好くなって終わりなんじゃなくて、現実の中の矛盾や不公正に目を凝らし、そこからわき上がる様々な感情を、依存と孤立によらない非暴力の表現と柔軟な精神で向き合い、遊び心で楽しく巻き返すパワーを取り戻す----そんな新しいコミュニティづくりへとつなぎたい。

この秋は、そんなプログラムが目白押しだじょー。
by teenspost | 2010-09-30 22:13 | ♪徒然Sawanism