2010年 11月 07日
自分の専門家、自分の人生の主人公になるということ
電話の声は、意外なことに、おつれあいの近藤さんだった。
なんでもオケイさんは旅先で風邪をこじらせ、羽田発の飛行機の中で容態が悪くなり、高知空港からそのまま病院に運ばれ,一時はICUに入っていたが、いまはICUを出て順調回復に向かっているということだった。
「樋口からの伝言を頼まれて、今、病院の屋上から電話してます」という近藤さんの話は続いた。
「ケイちゃんが病院に入ってすぐ、医者は気管を切開して気道を確保する処置をほどこそうとしたけれど、ケイちゃんははっきりと、私には必要ありません、と自分で言ったんだよ。“私には自分と同じ障がいを持つ仲間がいるので、よく分かっています。(健常者のレベルからみれば)大変な状態であっても、私たちには日常のこと。余計な処置をすることでかえって悪くなることがある。やらないでほしい”と医者に言ったんだ」と。
オケイさんは、脊椎カリエスの障がいで、肺活量が5分の1で、最近は酸素を使うこともあるから、風邪をこじらせれば、さぞや呼吸がしずらかったことだろう。
それでも、自分の身体の状態を自分で見極め,自分と同じ仲間のことを思い浮かべつつ、ICUでの医師の処置に対して、自分で選択し、要望を医師に告げたのだ。
「医者っていっても、障がい者に詳しいわけじゃないからね」
近藤さんの声は誇らしげだった。
自分の専門家になるということ、自分の人生の主人公になるということ、それがどういうことなのか、オケイさんはまたひとつ身をもって教えてくれた。
近藤さんを通じた樋口さんからの伝言は、「12月の会報に掲載予定だった米国と北欧の障がい福祉レポートの原稿が書けないので、よろしく」ということだった。
今年の夏は米国,北欧と飛び回っていたオケイさんだから,温暖な高知の自宅でゆっくり静養してほしい。
by teenspost
| 2010-11-07 11:19
| ♪徒然Sawanism