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クマのリーダーはエジプトに生まれるか?

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数ヶ月前だったか、スタジオ悠で、ピアサポートの運営について話をしていたときのこと、「自発性」の話になった。
どうやら、その場にいた人たちは、「自発性というのは、なんでも自分からどんどんリードし、人の頭に立ってやっていくことだ」と思っていたらしい。

それじゃあ、「船頭多くして、船山に登る」、あるいは、「リーダーは大変だから誰もやらない」ということになりかねない。

自発性というのは、時には自分から「あなたに委ねましょう」「協力しましょう」ということであり、また、心からすすんで無抵抗、不服従というのもある。

1955年米国のアラバマ州、当時人種分離政策によって座席が分断されていたバスの中で、運転手から白人男性に席を譲るように命じられても応じなかった42歳の女性がいた。

ローザ・パークスは、仕事帰りのバスの座席に静かに座り続けたために、人種分離法違反で逮捕された。

それを耳にした26歳のマーチン・ルーサー・キングは牧師の仲間と共に、バスの乗車ボイコットを呼びかけ、多くの人が参加し、それは381日続いた。
このモンゴメリー・バス・ボイコット事件はやがて公民権法成立につながる導火線となり、ローザは米国史上に残る女性となる。

晩年、ローザ・パークスは、自伝の中で「私は疲れていたから立たなかったと伝えられてきたが、そうではなくて、そのときの私は屈服することに疲れていたのだ」と述懐している。
屈服することに疲れ果てたローザの自発性を支持したのは、同じコミュニティに生きる多くの仲間の自発性だった。

自発性の対極にあるものは、「引き受けもせず、引きもせず」という依存性である。
依存性は底なし沼のように停滞し息詰り閉塞する。
関係を壊すだけで、なにも生み出さない。
空虚で空しい「逆パワースポット」で漏電する。

クマのリーダーはエジプトに生まれるか?_f0107724_10261132.jpgそこから抜け出す鍵は、心からすすんで委ねる自発性や、人から与えられる好意や好機を受け取る自発性にあると思う。

それは、どんなときでも私ひとりからはじめられること。
他者と共に生きる自立へとつながるもの。

連日報道されているエジプトの若者たちは「もうリーダーは要らない」と言っているそうだ。
ここでいうリーダーとは“支配者(独裁者)”のことだろう。

変化への勇気を示すのはいつも若者たちだが、平和なコミュニティをつくるためには、使い古されて役に立たない「自立」「リーダー」の概念が変わるような関係性を作らなければならない。
そう言えるアライとなる大人でありたい。

来週はまた北海道の若者たちに会いにいく。

絵本「クマのリーダー」子ども,若者たちとともに、ぜひ!(TEENSPOSTで頒布中)
by teenspost | 2011-02-05 10:40 | ♪徒然Sawanism