人気ブログランキング | 話題のタグを見る

惨事ストレスとセルフケア

惨事ストレスとセルフケア_f0107724_22265138.jpg

ある朝、庭を見たら一面にタンポポが咲いていた。
このあいだは、一斉に青紫のムスカリが咲き始めたと思ったら、翌日には、庭が桜の花びらでピンク色に染まっていたり、春の庭は日々色が変わる。

そんな愛らしいタンポポの庭を眺めつつ、ふとチェルノブイリ原発事故のことを思い出している。
そう、あの巨大化したタンポポのことを。
当時、被爆の影響の象徴として伝えられたチェルノブイリのタンポポ。
ある障がい者が、「そのタンポポを見て、こんなに恐ろしい姿になってしまったととるか? それでも生命の力はそれほど強いととるか?」と問いかける文章を書いていたことも思い出す。このブログを書いた後でネット上に公開されていることが分かった>>こちらから

現実は変えられないけれど、物の見方は様々にあり、立場によっても変わり、選択もできる。
それは、心の自由でもあり,ときにそれが抗えない葛藤を生むこともある。

スーパーで野菜を選ぶにも、いつになく生産地を念入りに確かめつつ、手に取ることをためらった野菜の生産者のことも想像する。
レジに並びながら、安全な食材を選ぶことの緊張と困難さを味わうと同時に,今までのように子どもたちに気軽に安全な食事を用意できないことへの罪悪感も味わう。
それでも被災地の被災者の心痛を思えば,そのくらいのことで嘆いていられないとも思う。

最近は、そういう心の動きが忙しくて、ひどく疲れている。

このところ、どのプログラムでも、誰の口からも、「震災からの心の動揺、現在の不安感・無力感」が際限なく溢れ出てくる。
一度では終わらず、尽きることなく、繰り返し繰り返し、溢れ出てくる。
それは当然のことだ。

いままで当たり前にあった世界が失われているのだから。

そう、それは、惨事ストレスというものだ。

震災以来「TVを消したいけれど、消すこともできずに、ずっと自宅にこもって見続けていた」という話を何度も耳にしてきた。

それは自分の感覚を封印し閉じ込めるには役立つかもしれないが,そのまま一方的に流されるものを鵜呑みにし続ければ、自分を守る情報は取捨選択できなくなる。

さらには、不安や恐れという「自分の感情」をないものにするために、楽観的(ひどく悲観的)な情報や被害者意識にしがみついたり、現実に向き合うリアルな情報やそれを発信する人に反発したり。
…それは、“心の中の子ども”がイジケちゃっているときに起きる根深いパターンだ。

自分を守るためにはセルフケアが必要だ。
ゆったりとした時間と人と人とのつながりが必要だ。

 1. 震災からの心の動揺、現在の不安感・無力感をシェアする。
 2. それが子ども時代から現在までの、過去の感情体験につながっていることを認める。
 3. 書く、話す、描く、歌う…さまざまな表現で再表現すること
 4. 機能的な対処のワーク
 5. 心身の抵抗力・治癒力を取り戻す具体的アクティビティとケア

惨事ストレスとセルフケア_f0107724_2227763.jpgこのプロセスを他者の力を借りつつ、ゆっくりでも少しずつすすめていきたい。

その中で、この災害ストレス、惨事ストレスを機能的な生き方を見直すきっかけになればいい。

しばらくは、どのプログラムでも「惨事ストレス」のケアがテーマになりそうだ。
by teenspost | 2011-04-19 22:45 | ♪被災と心のケア