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ananと嵐と明るい人間関係と

ただいま発売中のananの36ページあたりに、ひと月ほど前に取材を受けた記事が出ている。
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昨今のグループカウンセリングでは、「人間関係がこじれないように、どうしたらいいでしょうか?」とか「気持ちを伝えるワンポイントを教えて!」と、悩む前に「方法」を求める質問が圧倒的に多くなっていて、しみじみ「悩む感受性」が希薄になっていると思う。

それに対して、すぐに「それなら、こうしましょうね」と、その人の代わりに方法を考えて差し出すのが、いわゆる雑誌をはじめとする昨今のメディア情報の流し方だ。

まずは、「あなたは他人からどう見られてますか?」と他者視線を意識させ、不安を煽り、「バナナを食べればやせる」式の解決方法を次から次へと垂れ流す。
そういう情報にしがみついて方法を求めれば求めるほど、ますます方法にとらわれて、「まだまだ足りない」と自己否定感を募らせ、本質的問題解決から遠ざかっていく。
あるいは、得た情報を周囲の人間をコントロールするために使おうとしたり…、そうしちゃ、ますます他者への想像力と感受性を鈍麻させ、自己完結を目指し、人間関係をややこしくしていくのだから、これに慣れてしまうのは、かなりコワい。

いやいや、これはメディアと読者の関係だけじゃない。
家族関係やら、教育現場やら、メンタルヘルスサービスの中でも、よくよく目にする。

いずれも、他者と関係をつむぐという視点がないのだ。
というか、「他者視線」を意識するほど、哀しいほどに「他者」という存在はなくなる。

どんなものだって、他者と共に生きる意識の中でこそ、はじめて実を結ぶのではないか。
コミュニケーションを成熟させる原点は、「私は他者と共に生きたい。他者と話がしたい」という切ないほどの情念ではないのか。

さて、今号のananは、表紙が嵐の5人だしね、「明るい人間関係の作り方」という特集テーマもなかなか心そそられるしね、「しっかり食べてきれいになる! 美女鍋」のレシピも満載だしね、蟹座は「週明けの待ち伏せ、アポなし訪問は好展開」だしね…
きっかけはとりあえず何だっていいことにして、その読者の中から、「アサーティブネス」という言葉を得ることで、自分を内省する視点を持ち、自分自身にリアルに向き合い、失った権利意識を回復し、他者や世界とつながっていく道を歩み始める人が一人でも多く出てくれればと、ただただ願っている。
by teenspost | 2008-11-23 21:50 | ♪徒然Sawanism